イスラム世界では8世紀頃からスンニ派とシーア派の二大宗派が登場し、両者は幾度もの抗争を繰り返してきた。11世紀になると、スンニ派のセルジューク朝がイスラム世界の主導権を掌握。その勢力をキリスト教世界にまで拡大しようと図る。そして1071年には東ローマ帝国軍を打ち破り、セルジューク朝はアナトリア(現トルコ)まで進出した。
セルジューク朝に脅威を抱いた東ローマ帝国の皇帝は、ローマ教皇に救援を求めた。これを受けたローマ教皇は、東ローマ帝国の救援と聖地エルサレム奪還という大義のもと、西欧諸国に十字軍の結成を呼びかけたのだ。ちょうどヨーロッパでは、農地の開墾による土地不足が深刻化していたため、諸国は十字軍遠征を領地拡大の好機とみて積極的に参加したという。これが約200年に及ぶ十字軍遠征の発端である。